2015.11.5 【笑いのタニマチ20周年記念・仁智の新作ひとり旅@繁昌亭】

【笑いのタニマチ20周年記念・仁智の新作ひとり旅】

イメージ 1

仁智さんが二か月に一度谷四の駅前でやってる新作ネタおろしの会が「笑いのタニマチ」。20周年ということで、7月9月そして今回と3回連続の繁昌亭開催で今日も補助席2列の満員だ。今回の趣向は仁智さんが一人で4席かけると聴いていた。入場してみると場内すでに少し照明が落ちていてスクリーンが下りている。また別の趣向がありそうだ。結局このスクリーンは落語の合間に過去の仁智さんの秘蔵写真を紹介するためのものだったけど、最後まで楽しい写真が続いた。

仁智 / 老女A
仁智 / 兄貴の頭
仁智 / 多事争論
中入り
仁智 / 出前持ち

この4席は仁智さんの年齢が、30代40代50代60代につくられたものそれぞれから選ばれているらしい。そして一席目の前には20~30代の仁智さんの写真がスライドされる。テレビラジオ、当時メディアにかなり出てたんだな。そら仁鶴さんの一番弟子だし。それにしても若い。
ここからネタは「老女A」 有名な噺だけど以外にライブで聴くのは初めてだ。31才の時の作品てことだけど、今の老人にも通じるところがあって古さを感じない。

続いて40代のころのスライドの後に「兄貴の頭」。これは何度か聴いてるけど爆笑だ。言わば「源太と兄貴」のスピンオフのような作品かな。やくざの組で新入りに対して、先輩が兄貴の頭について触れてはいけない注意事項を指導する。もうどやって兄貴と会話するねんというほど禁句が多い。もちろん鶴瓶鶴光もダメだ。
仁智さんの新作は同じ人物、もしくは聴き手がそう感じる人物がいろんな噺に登場するのが楽しい。他の上方新作派の人はこれを案外しない人が多い。

三作目ではスライドが早くも現在まできてしまった。そこからおなじみ「多事争論」。これも何度も聴いているけど、「目玉焼きに何をかけるか」というワンテーマでここまで膨らましていつも爆笑に叩き込むのはすごい。客席参加型でもあり、大阪のお客さんはいつもいつも仕込みかと疑うほど絶妙のタイミングでいい反応をする。
この噺、由瓶さん、たまさん、三風さんといった客席参加型新作にかなり影響与えてるのではと思う。

中入りはさんで4席目、ここではいままでの人とのつながりのいろんなスライドが登場した。中でも春団治さんとのツーショットが何点かあったけど、この春団治さんがとんでもなくチャーミングでこういう表情を引き出した仁智さんもなかなかだなと。あの写真欲しかった。
ネタはごく最近の作品「出前持ち」。そばの出前を注文しかけた男と、なぜか電話まだしてないのにそばを持ってきた出前持ちの遭遇から話は始まる。他の人物も登場しストーリーは二転三転、その間も爆笑は続き、下げも意外な形でピタッと決まる。いやよくできた噺だ。何か仁智さん今日の4席は後に行くほどパワーアップしてるように思えた。恐るべき60代だな。

とにかく楽しい会だった。僕は上方の新作派の人結構聴いてるけど、やっぱり仁智さんは唯一無二の人で登場人物のキャラが圧倒的に立っていて、それが色んな噺にからんできて客席を仁智ワールドに染め上げてしまう。ただあえて登場人物のキャラをたたせないでストーリー重視で聴かせる人もいる。仁智さんの方が分かり易いのは確かだと思う。
この3回全部通ったけど本当に楽しかった。でも僕は座敷が嫌いなので谷四に戻るとまた行けなくなる。これからも年に1~2回はぜひ繁昌亭でしていただきたいなと切に願う。