2015.9.16 【笑いのタニマチ vol.121@繁昌亭】

【笑いのタニマチ vol.121】

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仁智さんの「笑いのタニマチ」、20周年記念で前回、今回、次回と3度続けて繁昌亭開催だ。この会も普段は座敷開催のため行きたいのに行けない。繁昌亭が続くのはすごくうれしい。しかも今回はゲストが三喬さんだ。

あいさつ / 仁智
三河 / 悲しき誕生日
仁智 / めざせ甲子園
三喬 / 月に群雲
仁智 / 川柳は心の憂さの吹きだまり
中入
仁智 / ハードラック

まず登場した仁智さん、この会は2か月に1度開催で、毎回新作ネタおろし+おたのしみ1席、てのが決まりなんだけど、「さっきまでやってたんですけど、今皆さんに披露できるレベルにはいかなかった。だから今日はネタおろしはこらえてください。その替わり三席します。」ここで拍手。で、何をするかで、前回のリクエスト大会で10本に残りながら選ばれなかったネタから仁智さんが選んできた5本から拍手で決めた。すると、割とはっきり上の三本が選ばれた。ちなみに選ばれなかった二本は「源太と兄貴」と「いくじい」。意外にも源太系の二本が落ちた。コアな仁智ファンはやっぱり飽きてるのだろうか。

そんなこんなで無事今日のネタも決まり、三河さんからスタート。誰にも誕生日を祝ってもらえない男の噺だけど、「悲しき誕生日」を略した「かなたん、かなたん」てのが度々入る。これはキャッチーでジングルみたいでインパクトが強い。でも噺全体的には筋も口跡もフラット過ぎる気がした。

仁智さん、一席目は「めざせ甲子園」。まくらで野球ネタ総動員の大サービス。ネタは商店街の奥にあるとんでもなく弱いLP学園の話。僕は「スタディ・ベースボール」よりもこっちが好きだな。今日気が付いたけど、古典の「大安売り」のパターンを踏んでるんだ。

続いて三喬さん登場、定番だけどなぜ松喬さんに入門したかを松喬さんが六代目に入門したきっかけを含めて楽しく聴かせる。そこから「月に群雲」。小佐田さん作だ。三喬さんの盗人噺はみんないいけど、僕は特にこの噺が好きだな。道具屋のおっさんが合言葉の「花に風」を言う場面で、煙草吸いながらむちゃくちゃためる。あそこを観るためにこのネタがあると思ってる。こういうのを聴くと、落語のネタは演者のものだというのを実感する」。

仁智さん、二席目はお酒の定番小噺をまたも連発して「川柳は心の憂さの吹きだまり」。これは初めて。聴きたかった噺だ。一つ一つの川柳が全部小噺的で爆笑の連続。こちらは「雑俳」か。でもこっちの方が面白い。古典を下敷きにした新作てよく言われるけど、聴いててそれを感じても完全にその人の噺になっていればひたすら楽しく聴ける。

休憩入れて「ハードラック」。これは何度も聴いていて、仁智さんを代表する爆笑ネタの一つだと思うけど、噺の構成がよく出来ていて、死にたい男が何をしても死ねない。この色んな場面が次々飛び出す。この男ここで気づいて「実は自分は運がいいのでは」と。そこで前向きに生きようと決意した途端に酔っぱらってとんでもないことをして、なんと電気椅子に座らされてる。ここからがこの噺のメインでかさにかかって次々と爆笑ネタを繰り出す。で、最後はきっちり、どんでんで下げる。何度聴いても爆笑だ。今日は更に電気椅子の場面で、三喬さんアイデアという新しいくすぐりもあって、これも新鮮で良かった。

今日は仁智さんを堪能できた。やっぱりこの人の新作はすごい。噺によって内容は違っても、トーンが変わらないというか、仁智ワールドに安心して浸っていられる感じだ。次回も繁昌亭で楽しみだけど、できればずっとここでやってほしいぐらいだ。