2015.8.17 【九雀の噺~バイオリンと落語とジャズの夕べ@繁昌亭】

【九雀の噺~バイオリンと落語とジャズの夕べ@繁昌亭】

九雀さんのこのシリーズは楽しくてかつチャレンジングな工夫がつまっていてわくわくする会だ。ただそんなに頻繁には開かれない。今回は、ジャズコラボということで発売日にチケット購入。後で高津の日程がかぶったけど気持ちは揺るがず。

九雀 / 遊山船
ジャズ・ミニライブ / シーナきのはら(バイオリン)、畑ひろし(ギター)
   ・Softly, as in a Morning Sunrise
      ・Someone to Watch Over Me
      ・Days of Wine and Roses
      ・The Tennessee Waltz
九雀 / 時うどん
中入り
噺劇・芝浜 / 戸田都康・千田訓子
九雀 / ヴィオロンの嘆き

プログラムをもらって中開けると、おお、いきなり「遊山船」だ。昨日の願いが通じたのか。この噺、僕はやっぱり稽古屋の船からあとの後半が好きなんだけど、九雀さんのはたらいに乗ったお咲さんがノリノリで楽しい。そして、”怒”りの文字入りの揃いの浴衣。何度聞いても爆笑だ。「質に置いても流れんように」は上方落語指折りの下げだと思っているんだけど。そして九雀さんの明るい口跡にもすごく合う。

続いて早くもジャズライブ。そもそもジャズ界ではバイオリンて楽器は少数派だし、ギターにしても管やリズム隊に比べると演奏者も少ない。そのデュオなのでとても貴重だ。もちろん僕は初めて聴くフォーマット。ジャズバイオリンてイメージがわきにくかったけど、とても丸くてでもメロディはしっかりしていて癒される。ギターのからみかたも素敵だ。超有名曲4曲で好きな噺の直後にこんなライブを聴けるのはとても幸せな気持ちになる。だけど、本来ジャズファンの前での演奏ならもっとファンキーというかいろんな技がみれるのだろうか。そんなライブをぜひまた聴きたい。

中トリで再登場の九雀さん、なぜここで「時うどん」をかけるのか。それは次の芝浜のために江戸時代の時間の数え方を分かってもらいたいからと説明。九つ、八つ、七つ、と、子の刻、丑の刻、をきちんど話すと客席からは「おおーっ」と声があがる。今まで噺家さんから聴いたこの説明で一番分かりやすかった。
九雀さん「時うどんはさんざん聴き飽きた噺でしょうし、時間の説明のついでのようなものです」て言って入ったけど、なんのなんの。今日もまたベテランの前座噺を聴けてよかった。若い人との違いは笑わせどころというかポイントがバーンと前に出てくるように聴こえる点かな。

ということで、中入り後は「噺劇・芝浜」、九雀さんの脚色・演出だ。噺劇とは落語の噺を本物の役者さんに役を振り、基本は着物きてかつらとかは付けずにする芝居のことで、立体落語という言い方が分かりやすいかなと思う。以前一度みたことあって、何のネタか忘れたけど、5~6人の役者さんがほぼ舞台に立っててあまりいいと思わなくて、それ以来一度もみていなかったけど、今日は芝浜なので役者が夫婦二人だけで、度々舞台上で寝るシーンとかもあって、あっ小道具もないので舞台に直接寝るんだけど、かなり面白かった。役者さんの演技と脚色・演出がきれいにはまってた。それと新鮮だったのは、落語なら「また夢になるといけねえ」で下げだけど、そのセリフの後しばらく夫婦の会話が続く。そら演劇ならその方がずっと自然だ。

最後はも一度九雀さん、「ヴィオロンの嘆き」、5年ぐらい前に一度聴いてるけど小佐田さん作だったんだ。で、この噺は道具屋の片隅にあった古いバイオリンが買われていって数奇な運命をたどるのを、バイオリンを擬人化して進めていく。そして、下座はバイオリンがからんでいく。今日はもちろんシーナきのはらさんだ。九雀さんのバイオリンがなぜあんなに高いかという話も説得力があった。ただ、ネタは極めて落語的な流れになっているのでそんなに特別な噺ではなくて普通に楽しかった。バイオリンの精とかその23番目の妻とか出てきてこれまた爆笑だった。

そんなことで、盛りだくさんでついブログも長くなった。で、今日も度々言われてたけど、シーナきのはらさんは天満で「SHEENA」というバーをしてる。一度行ったことあるけどいい店だった。そしてこれも言われてたけど息子さんが文楽三味線若手の豊澤龍爾さん。なかなかすごい親子だ。
さらに今日九雀さんから発表があったけど、次回の「九雀の噺」は11月19日で「芝居噺の夕べ」、その内容聴いて驚いた。また必見だな。