2015.7.21 【天神祭の極意@天満橋・追手門大学 大阪城スクエア】

天神祭の極意】

追手門大学が毎月開催している「ナカノシマ大学」という講座で、今月は天神祭ということで、このタイトルでそれにちなんだ落語会が開催された。新作三席と後半はおなじみ高島幸次さん司会のトークがあった。

高島幸次 / この企画の説明
生寿 / 仮名手本天神祭
たま / 菅原君の祟り
花丸 / 御迎え人形の恋
トーク天神祭の”実”を語る」 / (司会)高島幸次、花丸・たま・生寿

冒頭に高島さんが登場し、この会の主旨説明。以前から言われてるけど、上方落語にはなぜか天神祭を扱った古典が一つもない。ということで、今日は新作落語三本を聴いてもらって、後半のトークコーナーでそれぞれのネタについて掘り下げていきたい。
そんないつもとはちょっと違うアカデミックな雰囲気も織り交ぜながら、生寿さんからスタート。
「仮名手本天神祭」は数年前の上方落語台本コンテストの入選作らしい。天神祭忠臣蔵が合体したような噺で、元禄15年の天神祭真っ最中の難波橋で、吉良と大石が遭遇する。吉良は家臣とお忍びで、大石は妻りくと連れだって祭見物にやってきていた。どちらも仮名を名乗り合って本人と知らずに会話、翌年同日同場所での再会を約束するが、同年12月14日が討ち入りになって……、というストーリー。創作の着眼点はすごくいいと思うのだけど、テーマの壮大さと比べて細部の構成が甘いと思う。大阪締めが度々でてくるのは楽しかった。
続いてたまさん、新国立問題から安藤さんの話になり、また上方落語協会会館ネタ。たまさん以外の人も言ってて確かに使いにくいんだろうけど、いろんな噺家さんにこれだけ爆笑まくらネタを提供してるんだから、安藤先生のん良かったのでは。「菅原君の祟り」は自作の新作。2年前の同じようなイベントのために作ったということで、その時聴いてるんだけどあまり印象に残ってなかった。でも今日はよかった。菅原君が結婚して大宰府に左遷されて上司が藤原部長で……。というもろな噺なんだけど、たまさんの噺の中でも相当ギャグ密度が濃く感じた。こういう土俵でなら、今上方で対抗できる人いるかなっていうぐらい爆発的だった。
落語の最後は花丸さん、毎年天神祭の船に乗って、皆さんに出すクイズを披露。楽しかったけどなんか落語聴く姿勢から気持ちが離れていった。ネタの「御迎え人形の恋」 も台本コンテストの入選作。こちらはまた雰囲気が一変して花丸さんの世界に。ある大家のお嬢さんが身ごもって、その父親とスムースに結婚させるために、天神祭の御迎え人形が父親だという話をでっちあげる。で、その流れで噺は進んでいくのだけど人形の持っている怖さみたいなのも感じられて独特な世界観の噺になっている。僕はこの噺結構好きだな。

中入なしでトークコーナー、例によって高島さんが司会だけど、今日のそれぞれのネタについて丁寧に演者に質問しさらに解説を加えていて、いつものようにグダグダにはならなかった。特によかったのはたまさんの突込みをバシッと受けて返していたところで、すごく噛み合っていた。これからの高島さんの対談、座談には常にたまさんが参加するようにすればいいのではと思える。

こういうイベント久しぶりに行った.。こんな企画ものはどうしても落語が弱くなる傾向があるけど、今日はかなり強力だった。300人ぐらい入るのかな。ほぼいっぱいやったし、天神祭のPRという点でも大成功だったと思う。しかし週末にまた台風がくるかもしれない。先週祇園祭で今週天神祭。ほんまに頼むわ。