2015.7.18 【千朝落語を聴く会@太融寺本坊】

【千朝落語を聴く会】

夕べからの台風の大雨で、今朝から近畿圏のJRがほとんど止まっている中、いつも通りの動員のこの会。根強いファンがいつもの席を埋めて今日もスタートだ。

小鯛 / いらち俥
千朝 / 青菜
梅団治 / いかけや
千朝 / 花筏

小鯛さんも僕が推している若手の一人。「前座なので、長い噺はしません。また出来ません」といういつものまくら聴くたびに、出来るくせに、と思ってしまう。「いらち俥」はスピード感のあるネタで若い人がよく掛けるけど、正直うるさいだけの人もいる。小鯛さんは、その落語家らしい風貌からは想像しにくいリズム感でこのネタをさっと掛けてさっと降りた。理想的な開口一番だ。
千朝さん、一席目は「青菜」。さすがに上方夏噺の定番だけあって、今年も頻繁に聴いている。昔の夏の話、夏の歌のまくらギャグでいつものようにきっちりと客席をあたためてスタート。ネタは特別な入れ込みはないけれども、所作とタイミングで爆笑をたたき出す。千朝さん本領発揮だ。

続いて梅団治さん、「いかけや」は初代からの春団治さんで有名なネタだけれども、最近はほとんど掛からない。僕もライブで聴くのは初めてだ。何か梅団治さんが少し派手目の青系統の着物で上がっただけで、高座の空気が一変した。それだけこの会は千朝さんの色が強いってことなんだろうけど、期待が高まる。生意気な子供がたくさん出てくる噺だけど、梅団治さんのはいかにもいそうな適度な表現で楽しい。このあたりがこの人の落語の落ち着きにつながる。しかし、いかけやという職業はもう実質的には落語の中にしか生きていない。鍋の穴を直すと言われても作業を想像することができない。その辺がこの噺の難しいところだ。
千朝さん二席目は「花筏」。相撲ネタの中では普通の滑稽噺でよく掛けられる。最後の千鳥ヶ浜との対決シーンが見せ場だと思うんだけど、そこを力技的に盛り上げる人があまりいない。全体のバランスが崩れるからだろうか。千朝さんは、対決シーンの二人の心理面の葛藤が見物だった。

今日は千朝さんの二席は定番ネタで、しかも最近頻繁に聴いてるとあって、「いかけや」にかなり興味が集中した。そんな中でもきっちり満足させてくれるこの会。だからよく入るんだろう。太融寺ではいろんな落語会が開かれてるけど、僕の知る範囲で2階の本坊を客席にフルスペース使っているのはこの会だけだ。