2015.7.9 【吉坊一之輔二人会@繁昌亭】

【吉坊一之輔二人会】

東西人気の二人会。実力も折り紙付きでとても楽しみな会だった。一之輔さんは、去年のこの会以来で約一年ぶりだ。青菜と船弁慶のみネタ出しで弁慶つながりか。

華紋 / 色事根問
一之輔 / かぼちゃ屋
吉坊 / 胴切り
一之輔 / 青菜
中入
吉坊 / 船弁慶

名前が出てなかった開口一番、なんと月曜日に続いて華紋さんだ。本当に続く時は続く。でも先輩方にそれだけ評価されてるってことなんだろう。「色事根問」は何度も聴いた。すっかり安定していて気持ち良かった。
一之輔さん、一席目は「かぼちゃ屋」。上方の、みかん屋だ。まくらはギリシャと新国立競技場の話。当然のように爆笑をとる。ネタはちょっとしつこく感じたけど、受けるツボはきっちり押えていく。これはさすがだ。
続いて吉坊、一席目は「胴切り」。この噺ほとんど吉坊でしか聴いた事ないけど、すっとぼけた味を前面に出す吉坊の代表的なネタだと思う。何度も聴いてるけど、なかなか他の人の胴切りてのは想像しにくい。やっぱり、まったはんが足と話す場面で情景が目に浮かんできて爆笑となるのがツボだな。
吉坊がするとこういう噺でもシュールにならずに現実的に聴こえるから面白い。下げた後、踊りをと。
「獅子は食わねど」と何かと何か。やっぱり見ていて体の軸がしっかりしていてぶれずにくるくるするのがいいな。
更に一之輔さん、二席目は「青菜」 何年か前に東京の寄席で聴いたんだけど、その時と同じ印象。すごくデコラティブな青菜だった。とても面白いけど、僕は上方のシンプルな青菜がやっぱり好きだ。それとお咲さん、今日は名前出てなかったと思うけど植木屋の奥さんのこと、をたがめと何度も言うのはお咲さんびいきの僕としては、なんだかなと思ってしまう。
「青菜」や「遊山船」のお咲さんは、なんやかや言いながら亭主の言うアホ気なことにつきあってやるのがいいのだと。ある意味上方落語界のアイドルかもしれない。

中入はさんで最後は吉坊「「船弁慶」。これは見事と言うしかない。雀のお松の表現はやたらと声を上げるのが基本みたいになっていて実際そういう演じ方で受ける人多いけれども、吉坊のニンじゃないし、どんな感じになるのかと思っていたら、お松さん、立て弁のようで、さらっとじわじわと怖くなってきた。喜六の恐怖が伝わってくるような演じ方だ。もちろん二人の表情が目がいい。最後の芝居ぶりのところもまた切れていて、十分堪能した船弁慶だった。

今日は東京からの人も多かったのかな。先日鈴本で感じた笑いどころが違うというのをまた感じた。
特に船弁慶の最後、海に落とされたお松が知盛を演じ始めるところ。ここは笑うところじゃないと思う。
まあ、いずれにしても楽しい会だった。そして、僕はやっぱり上方びいきなんだということを再認識した今日の会だった。