2015.7.5 【鈴本演芸場・昼の部】

鈴本演芸場・昼の部】

東京の寄席の同じ番組に二日続けて行くのは多分初めてだ。だけど、昨日はかなり代演が多かったので、顔ぶれはかなり違う。楽しみな人もいる。

緑助 / 狸の恩返し
やなぎ / からぬけ
美智 / (奇術)
白酒 / 浮世床
半蔵 / 桃太郎
笑組 / (漫才)
歌奴 / 谷風情け相撲
正蔵 / 読書の時間
猫八 / (ものまね)
権太楼 / 蜘蛛駕籠
中入
二楽 / (紙切り)
小傳次 / のめる
一柳 / 芝居の喧嘩
小円歌 / (三味線漫談)
喬太郎 / 路地裏の伝説

緑助さんは花緑さんのお弟子さん。声も口跡もかなりいい。楽しみな人だ。こういう人がどう育つかをみるのも寄席の楽しみだ。
やなぎさん連日だ。この噺を「からぬけ」というんだ。謎かけをいくつか展開する与太郎噺。与太郎はやっぱり苦手だな。
美智さん、どうしても昨日のマジックの人と比べてしまう。しかもビール瓶と新聞紙の同じネタが出た。昨日のダーク広和さんの方がかなりシャープだった。
白酒さん、久しぶりだ。トリイで松曳き聴いた時を思い出した。この人の古典は声がよくて、聴きやすくてかつ面白い。かなりのものだと思う。
半蔵さん、一度聴いた事あるけど、その時もそつなくまとめる感じだった。こういう人を寄席以外の会で一度聴きたいものだ。
歌奴さん、高座の姿も声もいい。
正蔵さん、実は僕はこの人と東京の寄席でよく出会う。基本的には悪くないと思ってるんだけど、東京の落語ファンはこの人に厳しいな。大阪のファンが米團治さんに厳しいようなものかな。でも文枝さんとか米朝さんの噺よくかけてるみたいだけど、僕はやっぱり江戸ネタを聴きたい。
猫八さん、いい色変わりだ。スーツで上がる方がいいようにも思うけど。
権太楼さん、実は初めて。こんな落語なんだ。「蜘蛛駕籠」は上方の「住吉駕籠」。ほぼ同じだけどこんなにキャラの濃い人とは思っていなかった。ぜひ他の噺も聴きたい。
二楽さんの紙切り、今日は難題「アライグマ」が見事だった。
小傳次さんは、さん喬門下で今年真打昇進。「のめる」は上方の「二人癖」こちらも噺の筋はほとんど同じ。でも上方の演者と比べるとやっぱり抑え目に聴こえる。渋いけど。
一朝さんも2日連続だけど、昨日とは全然違って「芝居の喧嘩」は短いネタをつなげていく。以前に一度だけ聴いた事があったけど。この2日間で相当印象が変わった。じっくりと聴きたい人だ。
最後の喬太郎さん、今日は「路地裏の伝説」。数か月前の京都の独演会で聴いた。喬太郎さんの中ではハンバーグとかハワイの雪と同じ、人情系新作になるんだろうけど、都市伝説をみんなで懐かしむような噺、口裂け女とかトイレの花子さんとか出てくるけど、怪談寄りには行かずにほわっとして終わる。もちろんいいんだけど、盛りだくさんすぎて少し焦点が定まりにくい印象もある。

2日連続の昼の部で、色物の人が同じネタになるのは仕方ないとして、土日で代演も多かったので2日とも十分楽しめた。喬太郎さんの「抜け雀」はやっぱり素晴らしいな。