2015.6.19 【動楽亭昼席】

【動楽亭昼席】

久しぶりの動楽亭昼席、考えたらこのブログを始めるきっかけになった5月3日以来。そして、あの日も今日も二つ目が雀太さんだ。他の人は全部違うけど、同じように火をつけてくれるのか。

小鯛 / 青菜
雀太 / いらちの愛宕詣り
菊丸 / 茗荷宿
雀々 / くっしゃみ講釈
中入
新治 / 紙入れ
小枝 / 次の御用日

小鯛さん、いきなり「青菜」だ。期待したけど今一つリズムに乗れてないように感じた。初めて聴いたけどネタおろしから間がないのかな。でも次回に期待できる。楽しみだ。
雀太さん、今日も絶好i調だ。この人はこういう勢いを持続させてるのがツボみたいな噺はとてもあってる。急いで走るところの所作が意外に細かくてずっと面白い。それと、かかとの漫才みたいな掛け合いもいい。今日もきっと後の出番の先輩たちに火を付けただろう。
続いて菊丸さん、二日連続だ。「茗荷宿」は菊丸さんで以前も聴いたことあるけど、やり手の少ない噺だ。悪くはないいんだけど、聴いてて何かポイントを見つけられなかった。どちらかというといい話ではないのでそんなことも影響しているのか。本来は昨日の千両みかんのような古典も新作もどちらもいい人だと思うんだけど。
中トリは雀々さん、久しぶりだ。東京へ行ってからすっかり聴く機会が減ってしまったけれど、何がかかるかと思ってたら、くっしゃみ、だ。爆発の予感がする。ほぼまくらなしでネタに入る。最初から飛ばす。顔、身体、所作、全身使って表現する。もちろん声にも引き付けられる。それから八百屋店頭のシーンで更に盛り上げて、講釈小屋の山場へと。ここはもちろん大熱演。僕は落語のネタの途中の拍手は嫌いなのでしないんだけど、今日はくっしゃみのところで何度も何度も拍手が来た。今日に限ってはすごくその気持ちがわかる。客席も笑うだけでは物足りない感じで拍手が起きていたんだと思う。すごかった。

そして中入後は新治さん。休憩が入ったので高座の熱気はある程度はクールダウンしてる。モタレで何をしはるのか。「狼講釈」はできないしな。なんだろ。「紙入れ」とか。正解だった。しかし、女将さんが色っぽいな。夏着物もいい。さらっと色っぽいのがいい。この噺べっちゃっと色っぽくする人がいるけど、そうなると逆に男が見えてきて楽しく聴けなくなる。やっぱり新治さんの高座は高いレベルで安定感抜群だ。
トリは小枝さん、二人のまったくタイプの違う噺家が客席を自分の色に染め上げた後で、どんな高座を見せてくれるのか。ネタに入った。舞台は安堂寺町の商家で常吉登場。「次の御用日」だ。僕の大好きな夏噺。小枝さん、最後の「あーっ」連発のところは面白かったけど、僕がこの噺を好きなのは、物売りの声がいくつか聞こえた後に天王寺屋藤吉が駆け寄ってくる住友の浜、このシーンで真夏の情景がくっきりと浮かび上がるところ。でも今日は浮かび上がらなかった。物売りの声もなかったし。それと、とぉやんも憎たらしさが勝ちすぎな気がする。難しい噺なんだろうけど。

雀々さん、新治さん、そして雀太さん。いい高座三席聴けて大満足で動楽亭を後にした。雀々さん、大阪に帰ってきてくれないかな。