2015.6.18 【花丸染雀菊丸兄弟会@繁昌亭】


【花丸染雀菊丸兄弟会】

毎年待ち遠しいこの会。今年は菊丸さんの襲名や花丸さんのトリプル受賞もあって一層華やぐ。この3人は一門中では現在4・5・6番弟子になり、修行時期とかも重なっているのだろう。仲がいいのかどうなのか。そんなことも含めて楽しみだ。

オープニング・トーク / 花丸・染雀・菊丸
紫 / 兵庫船
花丸 / 仔猫
中入
染雀 / 堀川猿回し
菊丸 / 千両みかん

三人並んでのオープニングトークは、、噺家になったきっかけから。皆さん落語に興味を持って師匠の噺が好きになって、てのは当然だけど、米朝さんの影響もやっぱり大きいんだな。染雀さんが楽屋で言う人の悪口はいるもの全員を引き付ける、て、誰かが言ってたけど、今日その片鱗をみた。最後に今日のネタ三題の解説みたいなの。やっぱり「堀川」の話になるとこの一門は熱くなる。

紫さん、私も、ということで入門時の思い出を語って「兵庫船」へ。最近結構聴いていていいと思う事多いのだけど、今日は少し元気がないように感じた。船のこぎ方とか。
花丸さん、入門願いで師匠のマンションに通った話はなるほどとうなづけること多し。「仔猫」は後半番頭がおなべを説得する場面から、おなべの独白。そして下げにつながる一連の流れの中で、番頭の気持ちの変化の表現が見事でさすがのネタおろしだ。

中入後はいよいよ堀川、実際は林家以外の人も普通にかけてるのだけど、染雀さんは前半をこの人特有の非常にマンガ的とでも言う表現で通してよく受けていた。無茶者二人とそれぞれの母親がかなりデフォルメされた面白さで、芝居噺の端正さとはまた違う一面だ。で、後半猿回しの登場とともに、節がリズムが回りだす。かなり長い時間回り続けて気持ちよくなってくる。やっぱりこの「堀川」、色んな要素が詰め込まれてて染雀さんみてるとすごく楽しそうだな。
最後は菊丸さん「千両みかん」。今日は番頭噺が二席だけど、千両みかんほどかわいそうな番頭はいないと思う。間違いなく主役なんだけど、他の登場人物すべてに振り回され、最後はとうとう消えてしまう。噺の中では一度も消えないのに。出ずっぱりなのに。こういう噺を番頭サイドだけ意識して聴いてみるのも面白い。ジャズでベースライン追っかけて聴くみたいに。ちょっと違うかな。

今年もいいネタが並んですごく上質な落語会だったと思うけど、残念だったのは客数が少なかった事。三人会でこれだけまとまっていて、個性が違って、さらっとしてる会ってなかなかないと思う。花丸ファン、染雀ファン、菊丸ファンの皆さん来年はもっと来ましょう。