2015.6.17 【できちゃったらくご@動楽亭】


【できちゃったらくご】

一週間ぶりの落語会。一週間開くことそんなにない。まあ、その間に文楽2回行ったけど。今日は動楽亭で2か月に一度の新作ネタおろしの会。メンバーはこの6人固定だ。

あやめ / 脂肪遊戯
三金 / 注文のオ-イ料理店
南湖 / モルタスグラシアス
三風 / リモコン
中入
遊方 / はまさきさん
たま / ニコニコクリーニング

あやめさん、今日は2回目なのでと開口一番。先月の福笑さんとの二人会でおろした福笑さんのネタだ。ある著名タレントが大阪の場末(今日の設定は駒川中野、ここで爆笑)までお忍びで脂肪吸引に来る爆笑噺。でも脂肪と一緒にいろんなもん出てきたな。それを食べさせるて。この辺はやっぱり福笑さんの噺やわ。でも、あやめさんはもう十分にこなれていて、知らなければ自作ネタとしか思えない。
次は三金さん、まくらで昨日あった実話と、梅田で高速バスに乗るおばあさんの面倒をみて一番遠い乗り場まで連れて行った話、親切にもほどがある。そこから文枝さんが気配を消すのが上手い、という話はさんで、ネタはファミリーレストランで次々に頼みもしない料理が出てきてデブ二人で食べまくる。普通ここまで大食いすると見ていて気持ち悪くなるんだけど、三金さんの食べ物噺は楽しさが身体全体からにじみ出ている。下げもよかった。
南湖さん、スペインに行った話で、バルセロナ近郊のヌードビーチの話から始まって爆笑続くけど、途中でこれはもうネタに入ってるんだなと気づく。全裸の南湖さんの股間を南スペインの爽やかな風が吹き抜けていったらしい。演題は大阪弁でいう「ほんまにおおきに」、て、今の人言わへんけど。生ハムオーダーするのに散々苦労してようやく通じた後で「モルタスグラシアス」て言うと一同大爆笑らしい。スペイン人を笑わせるコツをつかんだと。20年以上前に行って大好きになった街バルセロナ、強烈にまた行きたくなった。サクラダファミリアとか変わってるんやろな。
中トリは三風さん、タクシードラーバーのまくらからネタは夫婦の噺。この人らしいほのぼの感があふれていたけど途中もう少し展開があってもよかったかなと思った。

中入後は遊方さん、今日のお茶子は新しいお弟子さんの遊真さんらしい。そっから師弟の話になり、腰ひも忘れた。手ぬぐい忘れたが、遊方~遊真、八方~遊方で繰り返されたと。八方さんとの高座での手ぬぐいのほりあいは笑った。ネタは「はまさきさん」を知らない相手に対して、「そんな事考えられへん」という男が関係ないことを引っ張りまくって、客席でも誰やねん感が強くなってきたところで、すとんと落とす。落語らしくてこんな噺は好きだな。
最後はじゃんけんでとっとと負けてトリになったたまさん。さすがに5分も6分も「長崎さわぎ」を聴かせはしない。2分ぐらいやった。先日の花形演芸会に出た時のまくらからネタは千林大宮のクリーニング店が舞台。というと人情噺ぽく聞こえるけど、たまさんだからそうはならない。で、いきなり仁輪加のような小ギャグを立て続けに出すという意外な展開。それを段々ふくらませていって、「大阪の人はドンドン言うと笑てまうような構造になってるねん」で爆笑。下げは今日の演者のネタをいくつか盛り込んで最後までよく受けて終わった。

終了後は南湖さんのスペイン土産の缶詰と世界一まずい飴のじゃんけん争奪戦で楽しく終わった。今日一はまくらの意外性とネタの完成度で三金さんかな。

今日感じたのは、この会は直前まで皆さんが創作していたプロセスがすごく分かるという事。例えば今日なら遊方さんとたまさんが下げまで粘る粘る。もっともっと引っ張って、と思うほどいつこい噺がいい。