2015.6.5 【福笑独演会@御堂会館】

【福笑独演会】

今年で30回目のこの会、福笑さん三席というだけで頭がクラクラしそうだけど、毎年すごく楽しみにしてる。なかなかいい席をとりにくい会なのに今年は下手6列目通路側。ベストじゃないか。さあ開演だ。

たま / 漫談家の幽霊
福笑 / 狂言強盗
福笑 / 二人ぐせ
中入
福笑 / 憧れの甲子園

去年初めてゲスト枠だったたまさん、今年はまた開口一番。でも僕は、福笑さんの会では冒頭たまさんの方が落着くというか、すっと入っていける。いくよさん、照雄さん、そして米朝さんの話の後「漫談家の幽霊」。たまさんの新作は内容はもちろん演題もキャッチーなのが多いけど、これもそのひとつ。何度も聴いてるけど、いい感じに出来上がってる。でも下げは分かりにくい。
福笑さん、一席目は「狂言強盗」。聴いたことあるはずやけどどんな噺やったか、と思ってたら出てきはって直ぐに思い出した。首が落ちるのんや。仕掛けのあるネタや。で、そこばっかり目がいくからストーりーを忘れるんやろか。道具が壊れて大変やったらしい。それで披露する回数少なかったんや。
続いて上純一さん、元トリオ・ザ・ミミックの人。数年前もこの会に出てはったけど福笑さんと同い年で付き合い長いらしい。ネタは世界一周音楽の旅と称して、楽器、動物、乗り物の音まねを次々繰り出す。いや相変わらず上手いわ。もちろん漫才的なしゃべりも達者やし、何より見た目が若い。これも大事な事。
福笑さんの二席目は、まくらは珍しく噺家さんの話から。染雀さんは親戚にオペラ歌手がいるので、どうしても歌が大層になると。ヒロポンズハイでもそうなのかな。そっから「二人ぐせ」。元ネタと違って、飲めるチームが最初から負けまくる。どんだけ払うねんて言うほど負け続ける。二人ぐせ知ってる人はこっちの方が面白いと思うけど、初めて聴く人はどっちの方が面白いのか、微妙な気がする。

中入後、楽しみにしていた「憧れの甲子園」。冒頭からぶっ飛ばす。監督が「よその学校のやつはどついてもええんや!」 噺は、甲子園初出場の高校が開会式直後の試合で15-0で負けて、旅館に帰ってお疲れ様でした会をしてるという設定。監督が日本酒を飲み倒す。で、ひとりで喋り倒す。そう、ひとり酒盛りのパターンだ。飲むほどに喋るほどに過激になってくるんだけど、好きなのは「金なんかなんぼでもあるねん。どれだけ寄付集まったか。そやのにこんな早よお帰らなあかん。」てとこ。爆笑度、過激さ、完成度で福笑さんの新作中でも指折りやろな。

ということで今年も楽しかった。前半正直例年よりパワー不足かなと思ってたけど、「憧れの甲子園」で大逆転した感じだ。身体に気を使う福笑さんは、らしくない気もするけど、いつまでも聴いていたいしまあしょうがないかな。「先に死ぬなよ。」と思っている年上の噺家さんが何人かいるけど、福笑さんがその代表だな。