2018.1.7 【笑福亭たま阿倍野独演会@阿倍野区民センター大ホール】

【笑福亭たま阿倍野独演会】

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さて今日は基本年四回の阿倍野独演会、前回までの小ホールから初めて大ホールに場所を移した。
キャパは580、前売りで400人ほど売れていたそうで、後方座席の空き具合からすると500近くは入っていたのではと思う。大阪のたまさんの会ではこれまで最大のホールで、たまさんの目標である千人独演会にまた一歩近づいた。このホール、前方のフラットな部分がかなり広くて決して見やすいとは思わないけれど、座面高がかなり低くて腰痛持ちには厳しかった小ホールよりましではある。
そして今日はゲスト陣も強力。どんな会になるのか楽しみで開演を待った。

華紋 / 普請ほめ
佐ん吉 / 手水廻し
たま / たいこ腹
たま / ヤマカン刑事
仲入り
雀三郎 / かぜうどん
たま / 新作ショート落語~苫ヶ島

まずは華紋さんから。若手でも正当な古典のしゃべりを感じることのできる人だ。開口一番でこういう人が出てくると、結構広い客席でもあっという間に落語の空気になる。大ホールの会のトップとしては十分過ぎる。

続いて佐ん吉さん、たまさんには自分の会の動員について相談しているらしい。そしてたまさんが授けたいたってシンプルな作戦は実現するのか。そしてネタは 「手水廻し」、もちろん佐ん吉さんのうまさも安定の安心感。中でも長い頭のいちべえ登場の場面で大爆笑だ。最近この場面皆さんの工夫が楽しいけど、今日の佐ん吉さんも絶妙の間だった。

この強力な前座、二つ目を配してたまさん登場。大ホールに変えたことは成功だったと。しかし、小屋が大きくなると大概客数も伸びるけれど、それは演者や主催者が勢いを感じているからなんだろうな。ともかく次はここを満員にすることが当面の目標かな。でもそうなると「月刊たま」 とか他の会の動員にも波及してくるように思うけどね。そして、今度襲名する人のこと、島之内寄席の動員のことときて、後輩噺家の話題に。大智さんで爆笑。熊をどつくて!! そこから噺は 「たいこ腹」、たまさんでは2回目だけど、まあとにかく勢いがすごい。今年もとてもたまさんらしい噺でスタートだ。

続いてたまさん二席目なんだけど、お茶子さんが高座にあがってフリップを。なにやら出囃子に趣向があるようだ。あるロックの曲を三味線二丁と太鼓で出囃子にアレンジ。太鼓はプロドラマーでもあるりょうばさんに依頼したと。何が始まるのかと思ったけれど楽しかった。こういうのはいいね。で、ネタは予定を変えて 「ヤマカン刑事」 去年ネタおろしで聴いて以来、ヤマカンで捜査する刑事がダジャレを連発する噺、阪堺電車とか島田洋七とか面白かった。たまさんのダジャレの落とす雰囲気が福笑さんのそれと似ているなと思った。

仲入り後はゲストの雀三郎さん、物売りの声をいろいろと。冬に限らず、夏の物売りも。物売りの声好きにはたまらない。先日末廣亭で聴いた宮田章司さんもすごかったけど、それを落語のまくらでやる雀三郎さんはとんでもない。しかも所作や身体全体を使ってだからね。特にこうもり傘の張替えでは大爆笑だった。そして 「かぜうどん」、代表的な冬ネタでとても好きな噺なんだけど、雀三郎さんのは酔っ払いがうどん屋にからむ様とかが、なぜか物売りの声とリンクしているように聴こえて、もう客席が雀三郎さんの世界に引きずりこまれていく。真冬の寒さが実感できて、気持ちよく下げまで運ばれる。とても良かった。だけどこの噺 「かぜうどん」 ていう演題はよくぞ付けたなと思う。これほどしっくりくる落語の演題そんなにはない。

最後たまさん、新作ショート落語から。最初に 「ラドン温泉」、これが大受けだった。これ一発で雀三郎さんの余韻を消し去ったたまさん、やっぱりすごい。後、TVクレームも面白かった。
そしてトリネタは 「苫ヶ島」、 たまさんで聴くのが三度目、でたまさん以外は聴いた事なし。徳川御三家紀州の殿様が久しぶりに和歌山に帰ってきて、苫ヶ島のことを耳にして狩りに行くことになる。そこで起きるドタバタの噺。大鷹が出てきて、大蛇が出てきて大騒ぎ。楽しい噺だけどね。旅ネタぽい雰囲気もあるし。たまさんのは殿様のわがままなキャラがとても楽しい。でも下げが今一つよく分からないな。

今日もとてもいい会だった。雀三郎さん始め強力なゲスト陣、それをまくらやショート落語一発で切り返すたまさん、そして趣向の出囃子。でも正直落語三席は少し僕は消化不良だった。他の部分が爆発的に面白かったからかもしれないけど、次回に期待だ。次のゲストは南天さん、どこまでの動員になるのかも楽しみだ。