2015.11.17 【メイプルごにんばやしの会@箕面・メイプル大ホール】

 【メイプルごにんばやしの会】

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今年の3月以来の「ごにんばやし」。元々相性が悪いというか、僕にとっては落語が入ってこないホールで自宅からは比較的近いのだけど、しばらく時間をおいてた。ただ、五人のメンバーはすごくいいので本来は毎回通うべき落語会でもある。中でも今回は注目ネタが並んだので久しぶりに来ることにした。

紅雀 /時うどん
米紫 / 元猫
まん我 / 壺算
中入り
吉弥 / ふぐ鍋
ひろば / 景清

紅雀さん「時うどん」は初めて。これは是非とも聴きたかった。最近ベテランの前座噺にはまってるのはよく言ってるけど、引っ張りな、が出てくる辺りからもう独断場で、所作と口跡が見事にシンクロしてるように感じる。この人の落語は他の僕がよく聴いている人たちとは違って、直感的な処理が多いように見える。リズムに乗って口と身体がどんどん動いていく様は圧巻だ。天才紅雀だと思っている。今週土曜日の独演会が本当に楽しみだ。紅雀さんも言ってたけど「たちぎれ線香」やもんな。

続いて米紫さん、先週聴いた天使さんの「元猫」がすごくよかったんだけど、後で実は米紫さん作だと聞いて意外だった.。今年2/22繁昌亭の猫の日落語会用に「「元犬」から改作した噺だそうだけど、米紫さんのは基本的に元犬ベースでそれほど大きな変化はないように思った。

中トリまん我さん、「壺算」もまん我さんでは初めて。ここまで三題この人で初めてが続く。壺算は上方落語指折りの名作だと思っていて、要は聴き手を混乱させたら勝ちなんだけど、その前に演者が混乱してるようにみえることがある。それが本当に混乱しているのか、そう作っているのかが分かりにくくて聴き手の混乱を増幅させる。本当によく出来ていて、やりがい聴きがいのある話だと思う。まん我さんは、番頭の困惑とテンションが上がっていく様をうまくみせていた。で、聴いてるこちらも混乱しながらもテンションが上がっていった。

中入り後は吉弥さん、前半と打って変わっておなじみの「ふぐ鍋」。この間落語ビレッジで猫忠を聴いて、またこの人聴かなければと思っていたところでふぐ鍋のネタ出し、これは楽しみだった。やっぱり吉弥さんは所作も口跡も端正だな。そしてそれは、一門全体に言えることで、先日の吉朝さんの命日で亡くなって丸10年てことだったけど、10年経ってもまだまだ若い一門だ。更にみんな力がある。今上方では一番勢いのある一門だろう。枝雀一門が以前はそういうポジションだったけど、直弟子から孫弟子世代への過渡期のようにも思え、勢いと求心力では、今、吉朝一門が抜けていると思う。

最後はひろばさん、「景清」だ。先日動楽亭での南天さんとの二人会でネタおろし。この時も聴いたけど、なかなかだと思う。理不尽さを堪えた主人公の切なさがよく出ている。もう十分レギュラーネタとしてつかっていけるのでは。後はこの間も言ったけど、本来この噺はまだ続きがあるわけで、どこかでぜひそこまでいていただきたいなと。それが本来の景清で、ひろばさんにもそちらの方があうと思う。

ごにんばやしは今回で8回目、近い割にあまり来ていない。それはこのホールの音響の悪さが理由だった。500人ぐらいのキャパに200~250人ぐらいなので、できれば真ん中より少し後ろでゆっくり観たいけど、それではなかなか落語が入ってこなかった。僕は落語でも他のライブでも一方的に聴くだけなのでPAの設定とかに明るくないけど、もう少し何とかできるのではと思う。今日は思い切って2列目で聴いた。それでも紅雀さんの第一声も天井に抜ける感じだったけど、何とか後ろで聴くより楽しめたので、次回からは前できくことにしよう。